2つの年代が誤差内で一致しているか?

2つの年代が誤差内で一致しているか?

#例 a = 50, 80とb = 60, 55, 80
a = 50
b = 43
aeroor =5
beroor = 2
if a <= b then
    puts "a <= bの時"
        if (aeroor + beroor) - (b - a) >=  0 then
            puts "aとbは誤差内で一致する"
        else
            puts "aとbは誤差内で一致しない"
        end
else 
# a > b then
    puts "a > bの時"
        if (aeroor + beroor) - (a - b) >= 0 then
            puts "aとbは誤差内で一致する"
        else
            puts "aとbは誤差内で一致しない"
        end
end

とまあ一年ぶりに書いたrubyだと大して問題はないんだが,これをexcelでやろうとするとどうするんだろうか.aとかbのところをハッシュかなにかで置換するのが実際にやるとしたらの場合.

超高速で年代測定をやろとするとどのくらいかかるのか ジルコンU-Pb年代測定

つい先日まで見かけていた鈴木先生がなくなった.私の父親もそうだったが,死というのは誰にでも平等に起きる物だと実感した.それで鈴木さん関係の追悼文を見ていたりしたのだが,Youtubeにずいぶん昔のドキュメンタリーが上がっていた.

試料作りから年代測定まで1日あれば年代測定まで持って行けると話されていた.

ジルコンU-Pb年代測定の場合どのくらいあれば年代測定まで持って行けるのか少し考えてみたい.ただし目の前に石があるとする.

ジルコンU-Pb年代

前提条件 あくまでも最速を検討し,普通にやるべきプロセスを削除している.ジルコン年代分析対象は花崗岩とし,分析ジルコン個数は50個とする.

1 2時間 石からダイヤモンドカッター等で風化部を除去し,スラブにする.

2 8時間 オーブンで乾燥させる. 

3 2時間 砕く.

4 1時間 水ひとパンニング.

5 2時間 ジルコンを埋め込み熱して固める.

6 2時間 磨いて断面を出す.

7 1時間 CL撮影.1時間に20枚撮影するとして,一枚の視野に3から2個ずつ撮る.

8 2時間 LA-ICP-MSで分析.立ち上げは他の人がやっているとして20分でアンノーン9個だとすると,2時間.

9 2時間 データ解析.

総計22時間.年代測定までは18時間かかっている.一日で分析を終えることができた.

ジルコン含有率が低い岩石,安山岩質の岩石などでは砕く量が増えるので粉砕に+2時間,パンニングに+2時間,磁気分離や重液分離に+4時間程度を見積もっていた方がよい.

オーブンの乾燥時間はスラブの厚さを薄くすることで短縮できる.厚さが5mm程度ならば120度で3時間程度で乾燥できるのではないだろうか.

現実問題として急いでやるとたいてい良くないことが起きるので,急がない方がよい.

100サンプル分析するとして,分析ジルコン個数を2倍にして,現実的な解析時間を入れるとすると一年仕事になりそうだ.

ボンドE205

長所

超低粘度

短所

熱すると柔らかくなるのでHPとかオーブンで加熱しない方がいい.たぶん80度でもきつい.

補足

一晩あれば固まる.硬化剤と主剤をとてもよくかき混ぜないと固まらない.

温めない方がよさそうなので固めたものをくっつけるときは,常温型の接着剤を使った方が良さそう.ボンドEとか.

ボンドEは多少加熱しても大丈夫130度とかなので,高速で固めたいときはようしゃなく熱する.それはペトロポキシも同じ.

ペトロポキシは加熱すると粘性が低くなるのだが,そのせいでクラックに弱い.なぜかというとクラックに入っていた気泡が熱すると出てくる.かといって熱しないとすぐには固まらない.

読了 堆積岩石学の概要

堆積岩石学の概要

堆積岩石学の概要

二つのモード組成測定法について詳細に記述した日本語の本としては初ではないだろうか.

欲を言えば,岩片のカラー写真や副成分鉱物の写真がもっとあるとカウントする上で教科書的に使えたかもしれないが,ページ数やコストの兼ね合い,本の趣旨的には妥当な判断だろうか.つまりほかに英語の良い教科書ないし論文があるからであるが,しかしながら,読者の立場としては電子書籍で図のカラー版を出してほしいところだ.

砂岩,ないし礫組成がメインのトピックであるので,堆積岩石学の中でも比較的最近の成果である砕屑性重鉱物の比や化学組成については記述が少ない (重鉱物比や化学組成についてはMortonやTakeuchiの論文を読めという話ではある).また,最近日本でも普及しつつある砕屑性ジルコン年代については記述がない.次の重版の時にでも加筆してくれると,より充実するかもしれない.

絵でわかる日本列島の誕生

昨日から絵でわかる日本列島の誕生を読んでいる.

絵でわかる日本列島の誕生 (KS絵でわかるシリーズ)

絵でわかる日本列島の誕生 (KS絵でわかるシリーズ)

だいたい初心者でも分かるだろうという内容なんだが,たまに難しいなあというように思う時がある.

地層累重の法則とか,単純ではあるが知らないと理解に苦しむかもしれない.整然層の話がでてくるとは少し驚きだった.

久々にかなり出血した話

シルバーウィーク暇だったので長野県のとある場所にいって調査をしてこようとと思ったわけです。地図と一式用意してとりあえず飯田までバスに乗りました。名古屋飯田線、時間も二時間ちょっとと短いし便利です。着いたのはいつもどおりという感じで0時だったわけです。

その日は、どこに泊まろうかと考えていなかったわけではありません。ネカフェでいいのではと考えていました。そういうわけで、歩きました。

4km

いつものことです。途中で、店が見つからなくて途方に暮れたりしましたが、とりあえず朝まで休めました。

次の日朝から天竜峡の方へ向かいました。便数が少ないとは聞いていた飯田線。ほんとうに少ない。飯田駅とか伊那市駅とか大きな駅でも同様です。快速とか特急とかもう少し走らせればいいのにと思わなくもない。あれだと使う人が本当に限定されてしまっています。通学とかでも一本乗り遅れたら大変だろうな。

11時くらいから沢靴で沢に入りました。堰堤につぐ堰堤まあたらしい10mくらいの堰堤を端の80cmの段差上のブロックを10段くらい登ったときは、これ落ちたら死ぬなあという感じになりました。いつも思うのですが、よく地質屋、死なないなあと思います。一歩間違えたら死ぬようなところで、岩に手を掴んでよじ登るとか、木を掴んでバランスを取るとか、滝登りとかをザイル無し単独でしているのですから。

あるところで、ついに堰堤が超えられなくなり、迂回した先で事故にあったわけです。とりあえず道まで出ようと、斜面を登り、上まで登り切って、目の前は田んぼ。田んぼと斜面の端にきたわけです。そして悲劇は起こる。

田んぼの端っこの側溝に落ち、すねをコンクリートに強打。激痛が走る。

スパッツを履いていたので重症だと気が付かずにこの後もまた沢に戻って調査をしていたわけですが、、調査を終え駅に戻りふとズボンを見てみると血まみれ。慌ててズボンをのけると傷口が5mm*5mmほどえぐれて出血。ガーゼとばんそこうをはりとりあえず様子見してその場を切り抜けました。

後でホテルに行き、傷口を見てみるとガーゼが血まみれ。しかしだいたい血は止まっていました。傷口を水で洗い流してから、ガーゼ付きメッシュテープで覆い、次の日の予定を切り上げてさっさと帰ってきました。

一時は外科に行かなければと思ったほどでしたが、とりあえず血は止まったので様子をみたいと思います。

打撲はよくありますが、出血は久々でした。泊まった伊那市ソースカツ丼食べた話はまた次回にします。

ペトロポキシが固まらない問題の考察

ペトロポキシがなぜか固まらなくなるという現象に悩まされたことはありますか.

きっとあるでしょう.多分.なぜ固まらないのか考えます.

原因

水がチップなどに含まれている.水分を蒸発させてから,ペトロポキシを使用しよう.

固める対象物のペトロポキシが温度が固まる温度に達していない.大きな岩石のチップなどでは,ホットプレートとの接地面から距離があるため,接着面の温度が固化する温度に達しないことがあるかもしれない.

ホットプレートの温度表示がおかしい.家庭用のホットプレートの温度表示が当てにならない例.そもそもある一定の温度を基準として高くなったり低くなったりしながら温度を調節するものであり,波がある.また,そもそも140度と設定してももっとひくい温度しかならないかもしれない.これは,いちど温度計で測って見る必要がある.また,研究用の温度調節精度の良いホットプレートをつかうことがおすすめされる.

古くなったペトロは温度が通常よりも高くないと固まらない? これはどうも事実であるようだ.少し温度を高め (家庭用のホットプレートで140℃とか) にしてみるとかたまるかもしれない.ただし,温度を上げすぎると,ペトロポキシが変色するので注意すること.対策としては,古くなったペトロは使わないことがあげられる.

まとめ

4つほどありうる原因を挙げた.どうにもならないときは温度を調節してみるといいかもしれない.その他,部屋の温度とかも関係することが予想される.他の原因があったら教えて貰いたい.

超大規模火山の正体は?「地球を突き動かす超巨大火山 新しい「地球学」入門」感想

LIPsと白亜紀海洋無酸素事変 【論文紹介】 - ミグストラノート

で紹介していた「地球を突き動かす超巨大火山 新しい「地球学」入門」を読んだので紹介をしておく。学会を上げて賞賛すべき最近のブルーバックス地球科学押しのうちの一冊である。

この本は前の記事でも紹介したとおりLIPについて書いたものである。LIPというのは、地球科学を学んでいる人でも全員知っているとは言いがたい用語であるが、その実を知るとなるほどあれかという感じだ。広義には巨大な火成岩体で陸上ならびに海底に分布しているというものであるが、この本ではよく使われる教義の方であるマフィックな大規模火成岩体といった感じで使われているようである。

冒頭は海底にあるLIPを掘削船で掘り進め、そこで分かったことを述べて始まる。そしてそれからは、デカン高原での陸上での調査に続き、LIP全体の知識へと入っていく。当然作中では、マグマができるメカニズムについても触れられている。概ね地球上でマグマが出来る場所は三箇所しかない。

プレートテクトニクスよりもマイナーではあるが、知っておいて損はないことだ。それは、ホットスポット、海嶺、沈み込み帯である。日本はこの内沈み込み帯に位置しているのでマグマができ、それが地上へと噴出すれば火山となるわけである。LIPと深く結びついているのは、ホットスポットである。ホットスポットはかつてLIPを創りだしたマグマの噴出源であり、それがLIPを創りだしたあとも脈々と残り続けて、水へに並ぶハワイといったホットスポット火山を作り出しているというのである。そのため、LIPの近くにはホットスポット火山列が存在することが多い。

そしてLIPはいわゆる大陸の離合集散と関連している。一つとなった巨大な大陸が割れるとき、時を同じくしてLIPも形成される。これの良い例として、紅海とアフリカ大地溝帯が挙げられている。

最後の方では日本とLIPとの関連性について軽く触れられている、海底下でできたLIPは海台とよばれるが、これらの寿命は海洋プレート上にいる時間と同義である。つまりできた場所からプレート運動によって移動していくので、いずれは沈み込み帯に潜り込む。そして消えてしまうと思いきや、巨大な玄武岩のかたまりであるLIPは沈み込めずに大陸へと付加され、それはいずれ陸地へと姿を現す。その代表例が御荷鉾緑色岩類であり、白亜紀の広域変成岩である三波川帯と密に接して現れている。そしてそれは北海道の空知ー蝦夷帯とも関連しているらしい。

またLIPと環境や生物絶滅との関連性についても最後のほうで書かれており、絶滅イベントとLIPの年代は一致しているように思える。

LIPは大規模な火成岩体であり、このような巨大な火山があったというのはなかなか信じがたいが、実際にあるのである。私は白亜紀を研究しているが、この時代にもLIPが何度も形成されている。そのうちどこかで私の研究とリンクする日が来るかもしれない。御荷鉾緑色岩類は研究対象として楽しそうだ。実はその近くの白亜系は調査したことがあったりするので気になっていた (論文は書いていない)。

最後に少し話は変わるが、この本ではプレートテクトニクスについてそこまで詳しく書いていないのでそれが良かったと思う。何故かと言うと、これは最近出たブルーバックスの地球科学の本で全体的に言えることなのだが、研究している本題を書くために初心者でもわかるように基礎事項を書いているといつのまにかページ数がそれに取られて、本題を書くスペースが少なくなるという問題点がある。かなり厄介な問題であり、普及書であるかぎり避けられない。これを避けるためには簡潔に書いたあと、詳しくは木村先生のプレートテクトニクスの本を読んでくださいとでも書く以外にないと思われる。

図解・プレートテクトニクス入門 (ブルーバックス)

図解・プレートテクトニクス入門 (ブルーバックス)

どこまで書いているかという具合を読みながら感じるためには、付加体についての説明、海洋プレート層序、ウィルソンサイクルあたりの用語を注視していれば良いかもしれない。

コンピューターや数学、統計とかで入門書ばっかりでる問題と似ている。地質屋である私からしたら研究の本題についてもう少し詳しく知りたいなと読んでて思った。

LIPsと白亜紀海洋無酸素事変 【論文紹介】

とくに研究とは関係していない論文等紹介するコーナー.

そもそも授業でLIPs (Large Igneous Province) について調べていた.対訳は大規模火成岩岩石区.

デカン高原の洪水玄武岩などが代表例である巨大な火成岩岩体がLIPsに当たる.古生代においてその火成活動と生物の絶滅イベントとが関係しているのではというのが読んでいた論文だ.

Kravchinsky, V. A. (2012). Paleozoic large igneous provinces of Northern Eurasia: Correlation with mass extinction events. Global and Planetary Change, 86, 31-36.

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0921818112000082

上の論文は関係しているというのが結論である.古生代だけ,それもユーラシアを主として対応関係を見ているが,他の時代においても同様のイベントの一致が認められているらしい.

関連して以下の論文を読んだ.

Sheth, H. C. (2007). ‘Large Igneous Provinces (LIPs)’: Definition, recommended terminology, and a hierarchical classification. Earth-Science Reviews, 85(3), 117-124.

CiNii 論文 -  白亜紀における大規模火山活動と地球環境変動のリンク

上のがLIPsの定義について.読んだ限りこちらの方の定義は,かなり従来のものより範囲を広げて,なおかつ用語を追加して階層的区分を行っている.あと,面積が確か要件だった.

下の論文は,実際にLIPsと地球環境変動 (例えば海洋無酸素事変) が結びついてるのかを同位体比を用いてモニタリングしている.

最近LIPsについてそのものズバリの普及書がでたので買った.

最近ブルーバックスが積極的に地球科学系の本を出していてフットワークが軽い.大規模火成活動が起きると絶滅するのかということの真偽とかメカニズムはまだまだといった感じに思える.

海洋無酸素事変に伴って形成されたとみられる黒色頁岩について今度は調べ始める.海洋無酸素事変が,生物の絶滅や進化に関わっているというのは一般的なことらしい.

白亜紀海洋無酸素事変

をとりあえず読んだ.読んだ限り白亜紀の間には何層も黒色頁岩があるというのがわかった.

絶滅古生物学

絶滅古生物学

に詳しく書いているそうなので読みたい.化石74号には海洋無酸素事変についての特集があるのでそちらにも目を通す予定.

www.palaeo-soc-japan.jp/download/Kaseki/Kaseki_online/No74.htm

少し話は変わるが北海道の根室層群では,白亜紀と古第三紀の境界であるK-P境界が見られる場所がある.

川流布の白亜紀-古第三紀(K-P)境界

私は,あるイベントで行ったことがあるが,確かに黒色の頁岩が見られた.森の中の川の両岸に見られる.ちかくに熊の足跡があり,一人では行きたくない場所だ.

白亜紀を研究しているので,海成の地層があれば,もしかしたら海洋無酸素事変に関連した黒色頁岩が見られるかもしれない.実際にそれが黒色頁岩であるのかを明らかにするためには炭素同位体比を調べないといけないが.

そういえば,凹凸形の殻に隠された謎: 腕足動物の化石探訪 (フィールドの生物学)を読んでいる.

作者の生き様が語られている本であるが,学部3年からドクターまでやったペルム系の地質調査が我々地質屋からしたら尊敬するべき熱心さにあふれていてまぶしい.現地での長期間の調査に加えて,エンジンカッターで石を切り,大量のサンプルを持ち帰り,室内でも検討する.この辺りは,すごいとしか言い様がない.おすすめな本である.