信州大学理学部地質科学科 AO入試について

信州大学(以下信大)の理学部地質科のAO入試は成功だったと私は思っている。今年のAO入試で入学してきた生徒たちの目は皆輝いていた。その輝きは自分の大好きな学問を出来るところに入れたというものから来ているのだろう。そしてAO入試を突破したツワモノたちだけあって地質の知識は同期の入学生を遥かに超えていた。

多くの大学のAO入試は失敗に終わっている。AO入試で入学してきた人の学力や意欲が低いことがさけばれ、枠を縮小する大学が広がりつつある。それは、専門分野に対する詳しい知識を問わずに、一般的な選抜方式で入学を決めようとするからだと思う。

例えば、内申書や志願書、面接。そのようなものでは、そのひとの本質的な実力はわからない。
なぜなら面接、志願書などはいくらでも偽装がきくからだ。面接であれば、一月も練習すれば格段に上手くなるし、志願書にいたってば先生が添削することでもはや自分の実力を超えたものすら作り出すことができる。つまり、受験者はそれらでは差がつきにくいということだ。

一般的な推薦の選抜方法では差がつきにくいということは、受験者の学力が高い人も低い人もみな同じ条件で受けるということになる。よって、AOで入ってくる人は、学力が低い人も含まれ全体としてAO入試組の成績が悪いということになるのだ。もちろん全員成績が悪いわけではない。

AO入試で合格した人が他の方法で入学した人と勉強面でもやる気面でも差がつかないように、信大のAO入試には他の大学と違い特徴を持っている。1つ、センター試験での基準、2つ、地質の専門分野を問う実地テスト、3つ、選抜人数を4人と絞っていること、である。

1のセンター基準は、基本。多くの学校でやっているが重要だ。学力の低い人の入学を避けるためである。
特筆すべきは2以降だろう。実地テストのレベルの高さは素晴らしい。バスで、地層のある場所まで受験者たちを運び、スケッチを取ることや地層を観察させ、実際の場において受験者の実力を図る。この手間は果てしないものだと思う。先生たちにとっても準備が大変だからだ。だから、普通の大学はこんなことはやらない。しかし、それをあえてやる信大地質科はすごいのだ。
20名ほどの受験者の中から選び出されるのは、3でも書いたように4名だけ、これならば入ってくる生徒は、地質に関してかなりにアドバンテージを持ったスペシャリストに違いない。

そして、難関のAO入試の合格者は自分の知識に自信を持ち学校活動を送ることができ、授業にも熱心に取り組むようになるのだ。


いかに優秀な人物を取るかということで信大の理学部地質科のAO入試はとても優れている。これは、他の大学の同学科と比べても一番といっていい。
だが、AO入試は考えられている制度なのだが、前期の試験がちょっと問題がある。方式を見れば分かると思うが、あれはちょっとという感想をいだいた私であった。