羽月莉音の帝国5 書評

前回、独断専行で恒太が頭取になった日本商業銀行だったが、その裏には中小企業信用補完機構なる組織が暗躍していた。一方、天才だがまったく実務には役に立たない恒太のメディアへの露出によってどんどん資産が増大。それに伴い、2.1%という高利率に革命部は苦しめられることに! そして舞台は変わって中国へ。チャイナリスクの神髄が発揮される。

今回も、勢いを失うことなく最後まで読み続けた。この疾走感は24にも勝るとも劣らないだろう。幾多の試練が、革命部には襲いかかる。

経済版、少年漫画みたいだ。

戦いに近い。既存の勢力と争い、力を増していく。革命を成し遂げるためにはまだまだ壁は厚い。





以下ネタバレありの感想。
緻密に語られる中国と日本の関係、金融形態などは一般的な経済小説に類するだろう。
筆者、至道流星さんの有り余る熱情をぶつけたかのようなストーリーの盛り上がりぷりは感動的なものがある。この小説を書くために要した参考文献の数は10を遙かに超える。長さこそ一般小説に劣るもの、これだけの本を読み込み書き出す作業をコンスタントに書き続けられることは尊敬に値する。
これも、かつて書いたことがあるとかかれていた啓発本のゴーストライターなどの仕事のノウハウが役に立っているのかもしれない。仕事だと割り切って書くことで一定のペースを維持できるのは素晴らしい才能だと思う。

是非とも対談か、講演会でもやって欲しい。Ustreamでもいいのでお願いしたい。
喜んで、私は至道先生の話に耳を傾けるだろう。

最後の中国の内乱に近い反日パニックは、生々しいものがあった。
あの難敵にどう立ち向かうのか時間も楽しみなのだ。