完全記憶というものに関して

僕の持っている記憶力は人並み外れたものではないが、世の中には、人の話も教科書の内容も本の内容もなんでも忘れないで取っておく事ができる人がいる。

彼らは忘れる事を知らない。
だから、テストであっても一度教科書を読んでしまえば暗記物ならば満点を取ってしまう。驚くほど簡単に。
覚えた事を頭の中から検索して書き出すだけなのだから当然の事だ。

そんな彼らをうらやましいと思う。

それは、おそらくその能力に関しての熱望ではなく、単純にその能力を保持している人の特異性に関してうらやましいと感じているのだと思う。

彼らは明らかに他の人とは違った目線で彼らはこの世界を見ているはずだからだ。
僕はどんな風に見えているのかを知りたい。

もちろん彼らの話を聞いたところで僕には100%理解する事はできないだろう。
1%だって分かる事はないかもしれない。
それでも、彼らの話した内容は僕を変えるはずだ。
未知の情報を受容するのだから。
そしてそれが僕もまた特異性を持った人間に変えて欲しいと心の中で願っている。


結局の所、僕は人と違った存在でありたいと言う事が本質なのだろうと確信している。
人と違った、めだかちゃんでいえばアブノーマルな人間といったところか。
人とは違った存在、それらは他の人から排斥されがちだ。それであっても彼らのような存在になりたいというのは僕がその排斥されるという痛みを受けた事がないからだろう。
想像はできても現実は非なるもの。

シミュレートなど意味をなさない。

それであっても、人と違った存在になりたいという欲望は僕をここまで追いかけ続けた。片時だって離れた事はない。

いつかなれるのだろうか。
彼らのような存在に。
生まれ落ちてからの二次的な存在に過ぎなくても。何かを失っても。
永遠にそれは僕を縛り続けるだろう。