名探偵夢水清志郎の事件簿1 名探偵VS怪人幻影師 書評

まさか新作が出るとは思ってもいなかった名探偵夢水清志郎シリーズ。出てくれたことに対してはやみね先生に感謝を捧げる。

はじめてこのシリーズに出会ったのはずいぶんと前、小学生の頃だった。ある日のこと図書館でふと見た棚に置かれていたのがきっかけだった、それからずいぶんと月日がたち大学生になったが、はやみね先生の書く作品にはいまもなお魅了されている。先生の書いた作品のシリーズで読んでいるのは前述の夢水清志郎シリーズの他に都会のトムソーヤとクイーンシリーズをちらほらというところだ。

全ての作品に目を通していないが、それは楽しみは残しているからに過ぎない。読む前から、面白いと分かっている作品であるが故に、もったいなくて手を出せないのだ。いつか、今以上に心が痛んだときに癒しの薬として未読の本を読みたい。そう思わせるほど先生の作品には夢と希望が詰まっているのだ。
大人が読んでも同じように楽しむことができる先生の作品はルパンのように名作の域まで達している。こんな作品達を読んでいないあなたはまずは夢水清志郎シリーズから手にとって欲しい。決して後悔はさせてくれない。


話は逸れた。さてー。
約束事は守ろう。僕は名探偵ではないが。
本作は前作で卒業した亜衣ちゃんたちは出てこない。それは残念に思われる読者もおられようが、違った登場人物達と出会った教授の事件簿はあいかわらずすてきな香りに包まれている。舞台は架空の都市レトロシティ。50年前を再現したという街で名探偵と怪人は戦う。宝石を巡って戦う二人とその後に起こる不可解な出来事。
その知的な戦いはまさに私たちが夢見たロマンそのものである。謎が謎を呼び、読者は自分たちの頭の中で解を求め推理を巡らす。そして、巧妙に練られたストーリーは一筋縄ではいかない。どんでん返しの展開に心を揺さぶられる。そのおもしろさは大人から子供まで誰もが共有できる一元的な物だ。親と子供、両者でこの本について語り合い思い出を作りたくなるぐらいに。
新たな都市と新たな登場人物達で繰り広げられる物語ー第2章。このシリーズから再び目が離せない。