魔法科高校の劣等生 7巻の戦闘描写はとある飛行士の恋歌を思い出した

魔法科高校の劣等生(7) 横浜騒乱編<下> (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生(7) 横浜騒乱編<下> (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生、面白いです。
さて、7巻では学園モノでありながら、なぜか高校生の仲間たちが大亜連合の軍隊と戦うわけです。
対魔法師をしている兵士相手に。魔法使いであっても学生である彼らが圧倒しています。正規の魔法師警備員が突破を許した相手に、よく戦えるなと想いますが、実戦向きの魔法師が集団で集まるとこれだけの強さを発揮するということなんでしょうね。

攻撃側のほうが防御側よりも強いとはいえ、戦車がぼこぼこにされていくのは楽しい。並の魔法ではない、秘伝の技術が優れています。
しかし、レオに秘剣を教えてよかったのかな。弟子扱いなら剣術ぐらいはいいのでしょうが、秘伝を伝授することを許されたロジックが気になります。

レオやエリカ、深雪、桐原たちが戦えたのは、高校生のなかでも殺し合いを経験したことがあった数少ない存在だったことが、もう一つの理由でしょう。爆裂魔法を見て気持ち悪くなる三高の連中が普通であって、一校にこれだけ人の命を奪いながら戦える人材が集中しているのがおかしい。一校の中でも極一握りだけなんでしょうけどね。

本題ですが、途中で二人の仲間が敵の攻撃にあって死にかけます。そのとき、こういうのあったなと思い出しました。とある飛行士の恋歌です。あれも、敵と戦う話でした。向こうは飛行機でこっちは魔法なんで、そういった違いはありますが。
恋歌では死に、魔法科高校の劣等生では死ななかった。

ご都合主義と言えばまあそうなんですが。この違いは、大きい。読者に与える印象としてね。ここで殺しておけば、おそらくお気楽な学園物には戻れなかったでしょう。敵に対する死は、身を守る上で仕方がないことと読者もキャラクター自身も正当化できます。でも、味方の仲間が死んだとなれば、すくなからず精神面で影響を受けます。お気楽な学園物ではなくなると、ラブコメしたり日常を楽しんだりすることに対して、本当にこんなことしてていいのかなという気になります。
そうした面で、大きな切り替え点だったと思います。

多分ですけど、過剰防衛が取られにくいんだろうな。今とは違う平和な日本ではないわけですし、犯罪発生率も高い。テロも頻繁に起こるのでしょう。襲われて対抗して殺したことで罪に取られにくい。そう、人を殺したことがあると書かれていたエリカに対して思うのでした。守るために殺したら、今の日本では面倒な事になるわけですし。裁判とか、事情聴取とかね。