いままで記録媒体に頼らないで受け継がれてきた文化が映像媒体により破壊される

世の中には,親から伝わってきた一子相伝の技術やある土地の民族舞踊とか儀式がたくさんあります.

それらを映像や録音媒体に記録することで保存しておこうという取り組みがあります.これは一見すると良いことだけに思えますが,実際は問題点があります.

そういった文化や技術は,決して過去から同じ物として伝えられてきたわけではないのです.各世代によって少しずつ変化して,今に至っています.しかし,これが映像媒体などに記録されるとどうなるでしょうか.それ以後の人は映像を見て聞いて,それをまねするだけになってしまいます.それでは単なる決まり切った動きしかしないロボットです.

人を介して伝わるという曖昧さが重要なのです.もしもアフリカやアジアの民族の文化的儀式を記録したとしてそれを自分がまとめるのに使うのは礼節の範囲内で結構なことですが,当事者に見せてしまうというのは,特異な場合を除いて避けるべきだと思います.

と先生が言ってました.なるほど.