「妹さえいればいい」

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

平坂読最新作にして最高の作品.

ラノベ作家もの.ファンタジーなキャラクターでありながらも,ちゃんとラノベ作家の日常になっているというのがさすがといった感じだ.読者にストレスなく話に引き込ませる能力をこの作品は保持している.

最後のおちというか,ある意味で予想通りといった事実を最後に書いておいていくのは次の巻への引きとしては最高である.

登場人物たちが楽しんでいる姿を見るというのがある種のこの作品の一面であり,本質的には四コマ作品と変わらない.GJ部よりも四コマ小説っぽい.

個人的に笑ったのは,某所でも話題になっていた劇中の物語のキャラクター設定,嫌いなものの所.平坂先生は作者でありながら,というか作者だからかもしれないが,ラノベ読みと似た考えを持っているようである.我々のツイートも見られてるんだろうな.

2巻が7月に出るというのがかなり驚きで,どうせ続きはなかなか出ないので残念と書こうと思っていたのが良い意味で裏切られた.

妹さえいればいい。2 (ガガガ文庫)

妹さえいればいい。2 (ガガガ文庫)

もう一つ書くとすると,ラノベ作家ものというと最近の作品では,俺妹の伏見つかさ先生の「エロマンガ先生」もある.この作品では主人公でラノベ作家の羽島伊月が妹好きという理由から,かの有名な俺妹について触れた部分がいくつもある.同じラノベ作家ものを同時期に書くというのは多分偶然なんだろうけれど,興味深い所である.そして順調にどちらの作品も巻数が出ればアニメ化しそうだ.

この作品はいくつかテーマがあると思うのだけど,一つのテーマであると私が思う「才能」については,やはり皆それぞれ悩む所だと思う.一般的な答えとすれば,怠惰な天才に真面目な秀才は勝てるというのである程度は当たっていると思うのだけど,芸術性が高い分野だとそれが当たっているかどうかは微妙だと考える.結局,伊月はなんとか頑張ってそして幸運にも恵まれて那由多の作品と同じくらいかそれ以上だと思える作品が1作品でもいいのでかければいいなと願う.

後,あとがきの前の部分に,他の先生たちからのコメントがあったのだが,川岸先生と渡航先生が1000字越えという規定文字数を大幅に超過して書いていて笑った.